マムシ流 つれづれ草 第10回

【日本の古き良き大衆演芸をリスペクトせよ!】

ジジイババア諸君! 暑さにめげてないか。
 マスクがますますうっとうしい季節になってきたけど、もう少しの我慢になるといいな。
 オレは5月前半もいろいろと忙しかったぞ。
 前回、ちらっと書いたとおり、4月の最終日には、浪曲師、玉川奈々福さんの独演会にお邪魔して対談してきたんだ。
 今、観世能楽堂は、銀座、しかも『GINZA SIX』という、元の銀座松坂屋だったビルの地下にあるんだよ。渋谷の松濤にあった観世能楽堂を移築したんだよ。とても素晴らしい劇場だぞ。元々、観世家は銀座にあったというから、先祖帰りをしたようなもんなんだな。   
 舞台に出る時には、きちんと足袋を履いて、橋掛かりからの登場だよ。思わず、能のすり足で出ていったぜ、ハハハ。
 元来、能は格調が高くて、ちょっと上の伝統芸能だけど、その能の舞台で奈々福さんは浪花節を披露したわけだ。まぁ、最近では吉本の漫才なんかもやるらしいんだけどね。
 奈々福さんはもともと筑摩書房の編集者で、いろんな本の編集をしていたんだってよ。最初、浪曲は単なる習い事だったらしいんだけど、玉川福太郎さんのところに弟子入りして、今じゃ海外でも公演をする浪花節界の歌姫だよ。いろいろなイベントも精力的におこなって大活躍している。吸収力と表現力で開花したんだろうな。たいしたもんだよ!
 舞台での対談では、師匠二代目玉川福太郎さんの話や、先々代の勝太郎さんの話、オレとオフクロとオヤジの本の話、奈々福さんが大ファンだという立川談志の話・・・、いろんな話をしたよ。でも、全然時間が足りなかったな。また、今度ぜひゆっくり会って話がしたいよね。奈々福さん、また会おう! ますますのご活躍をお祈りするぜ!
 そして、大衆演芸といえば、オレは、司会者や大衆演芸の人たちの集まりである日本司会芸能協会の応援団長という役を仰せつかっているんだ。それで毎年、国立演芸場で数日にわたっておこなわれる『大演芸まつり』のなかの『日本司会芸能協会』の日にしゃべりにいってるんだよ。コロナ禍でできなかったんだけど、今年はなんとか開催できたんだ。それで応援に出かけていったというわけだ。
 現在、日本司会芸能協会は、会長が穂高五郎さん、副会長が牧野尚之さん、名誉会長が大木凡人さんだ。みんな、司会業として大活躍してきた面々だ。そうそう、オレの盟友、大沢悠里ちゃんも、徳光和夫さんとともに顧問を務めてるんだよ。
 高齢化の波は、どこの業界にも押し寄せていると思うけど、この協会のメンバーもみんなジジイババアになってきたな。楽屋にいたら老人ホームみたいだったよ、ハハハ。まぁ、オレがそのなかで最長老なんだけどな、ハハハ。でも、みんな元気でなによりだ。
 ただ、司会業も大変だよ。今、歌い手はみんなしゃべりがうまくなってるだろ。だから、司会なんかいらないってなもんなんだろう。
 でもね、やっぱり、往年の玉置宏さんのような、曲のイントロや間奏に合わせて語る、昔ながらのプロフェッショナルな司会の名口上というのは聴きどころが多いよ。いぶし銀の語りだよな。だから、この司会業も、大衆演芸の伝統芸の一つとして、これからも末長く残って欲しいんだよ。
 日本には数々の大衆演芸が全国津々浦々に息づいてきて、今も存在するんだ。だから、この火は絶対に消しちゃダメだと思うんだよ。
 ぜひ、若い連中に、この大衆演芸の素晴らしさについて知ってもらって、リスペクトしてもらって、さらに、引き継いでもらえるなら、こんなにいいことはないよ。

『GG放談』は相変わらず絶好調だぞ。聴いてくれよ! 毎週土曜日15時更新だぞ!
『マムちゃんねる』は、本日15日がナイツの塙宣之の2回目だ。見てくれよ!
そして、小学館の『介護ポストセブン』の連載、お悩み相談もためになるから読んでくれ!
 聴いて、見て、読む。
 その一つひとつが、聴くのはスポティファイ、見るのはユーチューブ、読むのはインターネットだってよ。よくわからねぇけど、充分に伝わってるらしいぜ。不思議な時代になってきたな。でも、伝わればそれでいいよ。ありがたいよね。
 さしずめ、オレも、メディアミックスのなかで生きる大衆演芸王子だな、ハハハ。

 



(構成・伊波達也)

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