マムシ流 つれづれ草 第83回

【人に歴史あり。過去を大切に、日々の人生に活かせ】

 ジジイババア諸君! 達者で暮らしてるかい。若者諸君はゴールデンウィーク明け、元気で学校や職場に戻っているだろうか。毎年、この時期は5月病について語られるが、まぁ、そんなに深刻にならずに、心身ともにうまい具合にコントロールしていこうぜ。
 二十四節気では、まもなく小満。陽気がよくなり、万物に生気が満ちて、草木が生い茂る時期だよ。近年は、5月も中旬を過ぎると熱中症が増える時期でもあるから、特にジジイババアは気をつけてくれよ。

 ここ数年、オレは、本やいろんな番組で、ジジイババアの相談に乗ることが多いよ。
 文春新書の『70歳からの人生相談』しかり、その素である介護ポストセブンの『マムちゃんの毒入り相談室』、そしてエフエム世田谷で始まった『ツナグワラジオ』の『マムちゃんの心の相談』ほか、いろいろあるよ。ジジイババアやその子どもたちがこれからの生き方の指針として、オレの意見を参考にしてくれるというのはありがたいことだよな。
 相談内容はいろいろだが、これからの老後人生をどう過ごせばいいのかというのは多いな。夫に先立たれてうつ気味に暮らしている人、まぁ、その逆もあるけどね。女性の方が、夫に先立たれても、むしろ元気で人生をエンジョイしているケースは多いけどな、ハハハ。
 お年寄りというのは、老後は3つのKに悩まされるんだよ。
 一つは健康。これはある意味、歳を重ねれば仕方がないけどな。
 二つ目は経済。お金の問題だよな。まぁ、これも個人差はあるよ。
 そして三つ目は孤独だ。これが年寄りのとっては一番辛い問題なんだよ。
 人生の伴侶に先立たれて一人暮らしをしていると、鬱々するのはもっともだけど、
日々そんな過ごし方をしていると、天国にいる伴侶は悲しむぞ、とオレは諭すんだ。
 せっかく元気で生きているなら、やりたいことをやった方がいいし、会いたい人に会えばいい。ボーイフレンドやガールフレンドを作ったって、天国の伴侶は許してくれるよ。
 あとは、伴侶との思い出の地をもう一度、訪れてみるというのもいいかもな。
 友達を誘って行ってもいいしな。そうやって楽しく生きていくことが、残された者ができる、先に逝ったものへの恩返しだと思えばいい。
 どんな人にもその人なりの歴史があるだろ。サラリーマン、職人、自営業・・・、あなた方が送ってきた人生の歴史というのは貴重なものだ。そんな自分を振り返るのもいいよ。幼かった頃の自分、青春時代の自分、学校を卒業して仕事に就いた頃の自分、結婚した時、我が子を授かった時の自分・・・。いろいろあるだろ。それにそういうエピソード記憶を蘇らせるというのは認知症予防にもなるんだよ。自分が生きてきた歴史をたどって自分年表でも作ってみるか、ハハハ。
 若い頃に見た映画をDVDで見たり、長く続けてきた趣味に生きるもいい。新しい趣味を作ったっていいぞ。せっかく長く生きてきたんだから、自分の中にたっぷり詰まっている知識や経験を基に楽しく生きていくことを考えようぜ。どうせ限りある人生だったらその方がいいに決まってる。オレはこれからもそんな気持ちで90の坂を登っていくからな。
 また素晴らしいことを言っちまったな、ハハハ。

 それから、5月15日といえば、1972年の『沖縄復帰記念日』であるということも忘れないでほしいよ。先日、変な失言をした大臣がいるが、戦禍の矢面に立たされ、その後もさまざまな犠牲を払わされている沖縄の事実を記憶に留めないといけないよな。きな臭い時代だからこそ、我が国は、世界に向けて反戦の思いを伝え続けなきゃな。 

 さて、5月15日からの『マムちゃんねる』は、オレの古い俳優時代からの知り合いで、声優のレジェンド・野村道子さんの2回目だ。1回目に引き続き、とにかくいろんな話が繰り出されるぞ。楽しみに見てくれよ!!


(構成・伊波達也)

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