マムシ流 つれづれ草 第96回
【2025年の締めくくりを心して過ごすべし】
老若男女諸君、12月だな。二十四節気では小雪。七十二侯だと、「橘始黄(橘始めて黄なり)」という。橘というのは常緑樹で「永遠」の象徴と言われているぞ。いろいろとある世の中だけど、平和は「永遠」じゃないといけねぇよな。みんな、心して2025年の締めくくりを過ごしてくれ。
さて、オレの11月後半は、相変わらずジジイババアとの交流を持ったぞ。
墨田区の『これからシルバー応援フェスタ』というイベントで『マムシ流こころとからだの健康法』ということで、いつも通り、上顎と下顎がぶつかるままにいろいろ好き勝手にしゃべってきたぞ。
「人生100年時代に定年後をどう生きるか」は重要な問題だよ。そこに深く関わるのが、シルバー人材センターだ。体を使う、人とのコミュニケーションを味わう、人のために役立つ、ちょっとのお小遣いを稼ぐ、いろいろなことを満たして場なんだよ。
60歳を過ぎると仕事できるのがシルバー人材センターというところだが、60歳なんてオレから見たらひよっこだ。充実した人生を送って、まだまだいろんなことにチャレンジできるだろ。心身ともに健康に留意して、ぜひ働くこと、動くことで生きがいを見つけてくれよ。
11月の最終金曜日は『ミュージックプレゼント』だ。先月はスタジオにお邪魔したから、今月は57年目突入の最初の現場中継だ。オレの母校・日大芸術学部がある江古田行ったよ。お邪魔したのは『木下薪炭店』。薪と炭を扱う今どき絶滅危惧品種の燃料屋さんだ。この店、実は25年前にもお邪魔したんだよ。店主の木下利三郎さんは昭和10年生まれの御年90歳だ。4月生まれだからオレと1年近く離れた同級生だ。でも若くて元気だし、ちょっといい男というところもオレといい勝負だ、ハハハ。奥さんの美江子さんは92歳。少し具合が悪いんだけど、笑顔が素敵な人だったな。利三郎さんは、群馬の富岡で生まれ育って18歳で上京。石神井の薪炭店で修行して、奥さんの叔母さんの家だった今の店に養子に入ったんだ。お店自体は大正9年創業で105年を迎えたという。
生中継は町会長の野口さんという女性、副会長で95歳の天野さんというジジイと火鉢を囲みながらの団らんだった。お店の中には備長炭や切炭がぎっしり積んであって、昔懐かしい、いい風情だったよ。息子の勝弘さんは56歳。サラリーマンを辞めて店を継いでいる。この息子が炭屋のクセに紙屋みたいにペラペラ減らず口を叩くんだよ、ハハハ。ちゃんと店を切り盛りして、今や天然記念物のようになっちまった薪炭店を大事にしていってくれよ。
11月の最後は、エフエム世田谷の『ツナグワラジオ』の公開収録で締めくくった。この日は、世田谷記念病院併設の『2CO HOUSE』というスペースにお邪魔したぞ。オレの住んでる上野毛から車ですぐのところだ。収録前に『毒蝮流人生より良く生きるために』という講演をしたぜ。この日は、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)という、人生の最後をいかに良く生きるかを、家族や医療者と話し合う『人生会議』の日だったんだよ。
そんな話題も交えながら、いろいろとしゃべった。その後に、村岡マサカズさんと高田秋ちゃんとのラジオの収録も含めて、オレはいつも通りに、人生100年におけるそれぞれの生き方についてしゃべった。人生は人それぞれだけど、自分にとって悔いのない人生をまっとうして欲しいというのはいつも思うことだ。この日は病院のイベントで、医療関係者が多かったから、プロの前でなんだかんだ言うのも口はばったいとも思ったが、年寄りの代表として率直に話せたのもよかったよ。これから先、未来の老人医療をよろしく頼みますよ。
12月の『マムちゃんねる』はオレの一人語りで、今年、鬼籍に入った方々を偲んだぞ。オレにとっては、何と言ってもミスター・長嶋茂雄さんの逝去と、俳優・仲代達矢さんの逝去というのが悲しいな。お二人の話を中心にしながら、いろいろ喋ってるから、ぜひ見てくれよ。そして、読者諸君もご自分の周囲の亡くなられた方たちに思いを馳せてくれ、合掌。




(構成・伊波達也)